やめかんブログ

【経験者が語る職業訓練のススメ】訓練校や給付金など、わかりにくい求職者支援制度をかみくだいて説明してみた。

どうも、Dスケです。

 

少し前まで、Twitterでは自身の肩書きにもしていたのですが、今年6月まで職業訓練校に通っておりました。

現在では無事に全課程を修了しております。

通い始めた当初から、そして修了した今、改めて振り返ると「早く行っておきゃよかった」とかなりの実感を持って言えます。それくらい、独学より覚えられることが多く、質もよかった。

ただ、一般的に「職業訓練」というワードを聞くと、基礎的なことを学ぶ場というイメージが強く、あまりポジティブな印象を受けません。僕も通うまではそうでした。

もちろん、選択する職種や訓練校によっても異なるかもしれませんが、自分でいいなと実感している手前、この悪いイメージはなるべく払拭したい!

 

ということで、職業訓練を終えてすぐの記憶があるうちに、訓練校とはどんなところなのかどうすれば通えるのかどういう人にメリットがあるのかなどについて、僕なりの視点で解説していきたいと思います。

きちんと目標に向かって歩き出したい人にとって、国の制度を有効利用して学ぶ場所として、もっと広まってくれたらなぁと願うばかりです。

職業訓練とは

そもそも、職業訓練とは、なんでしょう?

 

「職業訓練」で検索すると出てくるハロートレーニングには、「離職者訓練」と「求職者支援訓練」の2種類について記載されています。

離職者訓練…主に雇用保険を受給している求職者の方を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練を無料(テキスト代等は自己負担)を実施しています。

求職者支援訓練…主に雇用保険を受給できない求職者の方(受給が終わった方も含む。)を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための職業訓練を無料(テキスト代等は自己負担)で実施しています。

参照:ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)

雇用保険の受給の有無によって分けられるわけですが、その状況によって受講できる内容も異なるため、注意が必要です。

ハロートレーニング、生産性向上支援訓練のチャート図(引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/hellotraining_top.html

 

一般的に「職業訓練」と言う場合は離職者訓練のことを指す気がしますが、求職者支援訓練も同じ制度なんですよね。受けるまで知りませんでしたが。

 

僕が受講したのは、雇用保険の受給終了後だったので「求職者支援訓練」で、さらに多少経験がある分野をさらに伸ばしたいということで、WEBデザイン関連の「実践コース」の訓練校に通いました。

離職者訓練・求職者支援訓練ともに多くの講義が用意されていますが、個人的な印象として離職者訓練は就職に直結するような授業求職者支援訓練ではそれよりも知識や技能の習得を目指しつつ就活は自力で行うようなカリキュラムが多いように感じます。

 

また、受講できる内容は地域によっても異なるようで、特に実践的なコースについては都市部でしか実施されていない場合もあるようです。都内在住でよかった…

場合によっては県外からでも受講できたりするようなので、自分の希望する内容の訓練がないときには、近隣の自治体で実施されている訓練もチェックしてみることをオススメします。

職業訓練のメリット

勉強するのであれば、一般の専門学校やビジネススクールに通うのもアリですし、独学で事足りるという人もいるかもしれません。

しかし、職業訓練には職業訓練にしかない、大きなメリットがあります。

授業料が無料

なんと言っても、授業がタダで受講できるというのは、ビジネススクールでは当然ありえないメリット。

通常のデザイン系のスクールだと、1つの授業でも数万~10数万円ほどかかります。期間によってはもちろんそれ以上かかりますし、中にはソフトごと(Illustrator、Photoshopなど)に別講座となっていて、それぞれで費用がかさむことも。

それが職業訓練だと、各分野のコースが決められてはいますが、受講するコースの授業料は一切かかりません。

※各訓練校で指定される書籍代や教材費は別途かかります

 

受講生に就職してもらうための制度とはいえ、これはかなりの厚遇といえますね。

補助金を受け取ることができる

職業訓練を受ける際に、諸条件を満たす場合には「職業訓練受講給付金」というお金を受け取りながら訓練に通うことができます。

その額、なんと月額10万円!しかも、返済の必要なし!

僕の場合は当初、面接的なものがあると聞いてたのですが、特に条件と照らし合わせるための書類審査だけで受給することができました。

のちほど書きますが、講義はかなりのスピード感で進んでいくので、アルバイトと並行しながら通うのはかなり難しく(実際には仕事しましたが)、もらえてよかったなと感じます。

 

そのほか、交通費も出たり(事前にルート申請が必要)、遠方からの受講で訓練期間だけ宿泊するような人には「寄宿手当」が別途支給されたり、上記の受給だけで足りない場合には別途融資を受けられたりと、意外と手厚い制度がととのっています。

もちろん、それぞれに条件がありますので、ぜひ詳細はハローワークに問い合わせるなどして確認してください。

学割が適用される(一部)

職業訓練に通ってる間は、実は「学生」なんです。そりゃ学校に通うから、そうなんですが。

ただし、基本的に短い期間での話なので、おそらくほとんどの学校は学生証などは発行しないでしょう。僕が通ったところもそうでした。じゃあ、映画とか学割で見れないじゃん。

であれば、何に意味があるのかというと、、、

 

ソフトのアカデミック版購入ができるんです!

これは僕が通ったWEBデザイン関連の学科だったからかもですが、とても助かりました。

Adobeのデザインソフト「Adobe Creative Cloud」のコンプリートプラン(IllustratorやPhotoshopなど全部使える完全版)は、通常5,680円/月(税抜き)ですが、

学割が適用されると1,980円/月となり、毎月4,000円ほど、年間にすると40,000円以上もお得になります。これはガチで嬉しい。

 

僕も訓練期間中にソフトの更新のタイミングがきたので、速攻で切り替えました。

デスクワーク系の訓練を受ける場合には、ぜひとも学生のメリットを使い倒したいですね。

期間が短めなので、集中して取り組める

職業訓練は分野・コースによっても異なりますが、だいたいが3か月~半年ほどで全期間を修了します。

僕の通った訓練校のWEBデザインコースだと、5か月ほど(400時間超)で、他の訓練校よりはちょっと長めのようです。

対して、スクールの場合はコマ数が決まってるところもありますが、専門学校だと1年から2年通い続けることになります。

関係者に聞くと、やはり1年以上も通うことになると、間延びしてやる気が続かなかったりするみたいですね。

 

訓練校は「就職」という目的がはっきりしている分、短期集中でモチベーションを維持しやすいところはメリットといえるでしょう。

職業訓練の種類

それでは、実際に受講できる訓練には、どのようなものがあるんでしょう?

 

僕が受講を検討した2019年時点では、ざっと見たところ以下のような種類がありました。

受講できる訓練のジャンル

・パソコンスキル系(基礎コース)

・WEBサイト制作系(デザイン、フロントエンド、サーバーサイド、プログラマなど)

・アプリ開発系

・組み込みエンジニア系

・経理、総務系

・事務、簿記、ホームページ更新スタッフ系

・医療事務系

・介護系

・インテリアデザイナー系

・その他デザイナー系(フラワー、アパレル、グラフィック)

・ゲームクリエイター系

・ネイリスト系

・日本語教師系

・キャリア相談員系

・職人系(シューズリペア、革職人など)

こんなに幅広く選べるのかと、自分でまとめながらビックリしてるくらいですが(笑)、多くの業種・職種の講義が用意されています。あ、でもこれは東京だからかもしれないですね。

とはいえ、東京外からも通ってた人もいたので、自分の住んでいる県に希望の講義がない場合には、別の県で実施されている訓練も調べてみることをおすすめします。

 

これらの講座は、各訓練校によって実施されているものが当然異なり、時には似たような講座が別々の学校で行われている場合もあります。

受講を決める前には事前に説明会に行くなどして、情報を集めてからどこに通いたいか決めるのがよいでしょう。

職業訓練校に通うには

さて、目的の訓練校の講座がみつかったとしても、必ず通えるという訳ではありません。

 

まずは先ほども少し触れた①説明会に行き、自分のイメージした講座内容だなと感じたら、②ハローワークにて必要書類を揃えて受講希望を申請します。書類は結構多いですが、一つずつ書いていきましょう。

申請が済んだら③訓練校での面接があります。講座のタイミングによって必ず定員があり、超過すると選考しなくてはいけないからですね。

面接で聞かれることは訓練校によっても異なるかと思いますが、僕のときはその訓練校を選んだ動機や、遅刻・欠席せずに通えるかの確認集団で学ぶ際にどのように立ち振る舞えるかなどを聞かれました。

 

その後、④訓練校から合否の判定が書面で届き、合格すれば晴れて指定日から受講できます。ちなみに僕が申し込んだ訓練校は人気があったため、定員超過で一度落ちました(笑)が、辞退者が出て繰り上げ合格となりました。そんなこともあります。

 

先ほどメリットのところで書いた「職業訓練受講給付金」の合否と、訓練校の選考合否は前後する可能性もあるので、給付金申請が通ったのに訓練校の選考から漏れちゃう、みたいな入れ違いは起こる可能性があります。(当然もらえません)

講座の申し込みは2か月ごとぐらいに1度来るので、選考に落ちても次のチャンスはありますが、なるべく自分の狙ったタイミングで通過できるといいのかなと感じますね。

通った感想や、注意したいこと

実際に訓練校の講義を修了した今、僕が感じたことや、これから検討するであろう人に向けて注意してほしいことなどをまとめてみます。

「自分で学習する」を身に付ける

僕は訓練に通う前から、ある程度独学でHTMLやCSSの勉強をしてきましたし、実務でもWebサイトのワイヤーを組んだりしてたんですが、そんな僕でも授業のスピードは「とても早い」と感じました。早さの5段階評価でいうと4.5くらい。

かなり限られた期間で多くのことを学ぶので、1つのセッションに費やせる時間も限られます。講義する先生も簡潔に解説したり、前提部分は少し省いたりしながら進めていました。(あとは先生によって説明下手な人もいたりいなかったり……)

中にはついていけていない生徒もチラホラいたので、これまで自己学習してきた下地があって本当に良かったと思ったくらいです。

 

もちろん、そんな経験者でも意味の分からない部分は毎日出てきます。それを一つずつ復習して解決したり、事前に講義内容をチェックして想定される疑問を洗い出しておくなど、どう効率よく学習するかはとても大事だと感じました。

この「自分で学習する」力、職業訓練に限らずどんなジャンルにおいても使える汎用性があるので、訓練期間はその習慣をつけることを意識して過ごすとよいです。

他人と比べない

職業訓練にはいろいろなバックグラウンド、状況、年齢の人が集まります。中には僕のように多少経験ありで通う人もいますし、もともとの地頭がいい人もいます。その逆もしかり。

一斉に同じ内容の授業を受けて「よーいドン!」のようなイメージにもなりますが、すぐに出来る人・出来ない人がはっきり分かれてくるのも残酷なところ。

かく言う僕も、デザイナーとして活動しつつ訓練に参加しましたが、僕よりデザインが上手な人も当然いて、なんだかヘコんだのを覚えています。

 

とはいえ、いちいちヘコんで「自分はだめだ」「まわりスゲェ」とかなる必要はありません。というか、時間のムダ。

ほとんどの人は未経験で専門の業種に挑むわけですし、勝負は訓練中ではなく訓練後。それを理解して、自分に集中して取り組むのがいいなと実感しました。

 

反対に、自分が他の生徒よりできてる部分があれば、サポートして助けてあげる。そうすることでクラスの雰囲気も良くなり、全体としてモチベーションも上がります。

これから職業訓練に参加される方は、そのあたりも意識してくれるといいなと願います。

学べることは「基礎」だと認識する

これは、講義に対してあまり過度な期待はしないほうがよい、というが言いたいのですが。

僕は「実践コース」の訓練を受けて、確かに現場でのセオリーや、現場における考え方などを学べた部分もありましたが、実感としては「これではすぐに実践は難しい」と感じました。

本当は即戦力としての知識やスキルを身に付けられたらと考えていましたが、就活時の戦闘レベルとしては「未経験者より多少経験ある」くらいのものです(個人差あり)。

 

まあ当然といえば当然なんですが、訓練修了後はしっかりと就職して、現場で実践を積んで使い物になっていく、そのための講義内容といった位置付けだと思います。

先生によっては授業以上の内容をこっそり教えてくれる場合もありますが、全体的にはあまり積極的には教えない印象でした。

自分でどのレベルまで訓練中に到達したいのかにもよりますが、目指すところが高いほど、プラスアルファで独学が必要かなと感じます。

購入書籍は、電子版でもよいか確認する

急に地味なポイントですが(笑)、僕が受けた訓練校では、4つほど一般書籍の購入が必要でした。

ただし、「すでに持っている書籍は購入しなくてもよい」ということだったので、加えて「電子版で持ってるんですが、それでもよいですか?」と聞いてみたところ、僕の場合はOKでした(ホントは持ってなかったので、後日Kindleで購入)。

これ、なんでわざわざ書いているかというと、専門書は分厚くて重い!

3か月~半年程度、毎日カバンに入れて持ち運ぶのは地味に辛いと思うのです。実際にまわりは辛そうな中、僕は軽々iPadでしたがw

 

普段から紙媒体派であればいいのですが、電子書籍派なら事前に確認してOKもらえるようならぜひ検討してみてください。

※ただし、採用される専門書が電子版に完全対応していないことが多く、マーカーなどが引けないことがよくあったので、書き込みなどしたい場合には紙版をおすすめします。

まとめ

職業訓練について書かれた記事とか、実際の体験記って意外と見つからなくて、きちんと書きたいなと思ってたんですよね。

もちろん、受講するジャンルや訓練校による違い、期間やタイミングによってもさまざまな違いがあるとは思うのですが、ひとつの参考になれば幸いです。

 

お伝えしたいのは、「なんのスキルもなくて…」と悩んでいる方にとって、職業訓練は想像以上にいい選択肢になりうる、ということです。

僕も基礎を固めるための通学でしたが、自分ではあまり勉強する気がなかったソフトの使い方なども勉強でき、結果的には知っておいてよかったという内容がいくつもありました。

自分の興味のある分野で訓練が用意されているようなら、ぜひ検討してみてください。

 

また、コメント欄では質問も随時承ります。あくまで僕が体験した範囲の内容にはなりますが、手続きの話から、訓練中の話まで一般的なことはお伝えできるかと思うので、記事を読んで気になる点があれば、ぜひ遠慮なく質問してください!

ではでは。

 

 

Dスケ

 

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