書籍レビュー

小説→映画の順番でも、意外と楽しめた『君の膵臓をたべたい』※ネタバレなし

 

人並みではありますが、
本を読むこと、映画を見ることがすきです。

 

最近はどちらかというと
ビジネス書やスキルアップのための本を読むことが多かったのですが、
小説も久々に読んでみようというきっかけがあり、
実写映画化のCMにつられて読んでみました。

『君の膵臓をたべたい』

 

2016年の本屋大賞2位のニュースをみた時は、
そのセンセーショナルなタイトルに興味をひかれたものの、
「よくある病気のコとの心を通わせる系かな」とも思い、
すぐに手を付けることはありませんでした。

 

ただ、最近は特に映画公開前ということもあり、
テレビをつければCMもバンバン流れており、
だんだん興味をそそがれてきて、
ついには小説を買うという購買行為をまんまと誘発されたのでした。

 

ここで、普通の人なら、
「あれ、映画のCMみて、小説買うの?」と思われるかもしれませんが、
僕はよくそういうことがあります。
というのは、作品として一番完成しているのが
小説ではないかという持論があるからです。

 

映画とも、漫画とも、朗読とも違う、
文字以外の情報をすべて自分の脳内で補完しながら読み進める小説は、
誰のアタマの中でも最適な場面、声、表情で演じてくれるので、
一番受け手に委ねられた芸術であり、
それ故に満足度も高くなるのかなぁと考えています。

 

ということで、
実写映画化でメディアでよく目にする機会が増えると、
そんなに話題になっている原作はどんなもんじゃろかい、
で小説を買うというのが、僕によく起こる購買衝動です。

 

いや、僕の購買衝動の話は置いといて、本の感想ですね。

 

小説『君の膵臓をたべたい』を読んでの感想

 

※書評というか、感想です。

 

話としては想像していた通り、
膵臓の病気で余命幾ばくもない高校生の女の子と、
それを家族以外で唯一知ってしまった同級生の男の子のお話ですね。
※名前はこの原作中では少し意味を持ちますので、あえて伏せてます。

 

ただし、その女の子の命は本当にあっけなく終わりを告げます。
小説を読みながら、僕は初めて二度見しました。
えっ、どういうこと、えっっ。

 

でも考えてみたらそうなんですよね、
僕らは生まれたときから死ぬことが決まっていて、
物心ついてしばらくするとその「死」に怯えたり、
逆に「生きる」ってなんだって哲学めいたりもするけど、
大人になるとそれも先のことって考えなくなるけれど。

 

僕だって、あの人だって、明日死ぬかもしれない。
明日死ぬって分かってたら、今日やろうとしてたこと、
今日伝えようとしてたこと、全部叶えようとして、
そしたら今日はいつもと違ってたかもしれないんですよね。

 

やっぱりちゃんと生きていかなきゃなぁと思いました。

 

小説の読みやすさとしては、
会話のテンポが軽快で、
とてもスラスラと進めやすいです。
溌剌として天真爛漫な女の子と、
あまり人と関わろうとせずクールでいたい男の子との掛け合いは、
なんだかとても今風で、
作者の住野さんのセンスを感じます。

 

特に語り手の男の子目線で女の子への思いが徐々に変化していく様が、
同じ男としてはムズがゆく狂おしいほど可愛くて、
「自分もこんな時代があったなぁ」と老婆心まるだしで悶えます(笑)

 

という、なかなかの満足感のもと、
実写映画を観る機会に恵まれたのですが、
前述のとおり小説第一主義のため、
少し出来を心配していました。。。

 

映画『君の膵臓をたべたい』を観賞しての感想

 

 

原作の中で特に重要だなぁと思ったのが、
主人公の男の子の主観で語られる気持ちの移り変わりです。
死を迎える彼女との出会いから別れまで、
本当にギリギリのところまで彼らの募る思いを留めながら書かれています。
原作読んだ人には伝わってるかなー。

 

そのため、その男の子の心情をうまく表現してくれるのか、
その1点だけが不安でした。
あとは原作ではあまり関係のない小栗くんや北川さんが
どう絡んでもどう演技しても本筋に集中できるなと。
女の子役は天真爛漫なら、まあ良しと。

 

そしたら、主人公役の北村さん。
とても良かった。

 

とてもリアルに原作の中の男の子を演じていて、
というより、原作の男の子だとどうしてもまだ二次元の雰囲気が否めないんですが、
それを現実風、三次元風にするときっとこれくらいなんだろうという背伸びのない感じが、
逆にリアルですんなり入りました。

 

女の子役の浜辺さんも超絶可愛いし、
あんなコ同級生にいてしかも亡くなったら超絶悲しいし、
天真爛漫な演技も上手だったんですけど、
原作読んだ人は、主人公の彼を見るためだけでも映画に行ってもいいなと思います。
言い過ぎかな?

 

ただし、本題でもある『君の膵臓をたべたい』については、
僕個人的には説明が丁寧ではない感じが否めないので、
満足度としては小説100点としたら映画70点くらいです。
あれでは、キャッチコピーの「ラスト、きっとこのタイトルに涙する。」がもったいない。

 

映画がピンと来なかった人は(実際、一緒に行った人もピンと来てなかった)、
ぜひ原作小説を読んでほしい。それからなら、きっとタイトルに涙できると思います。

 

以上、感想でした。

 

オマケ:主題歌『himawari』について

 

ちなみに主題歌は、僕も大好きなMr.Childrenの『himawari』。

この映画のために書き下ろした楽曲で、
歌詞もエンディングにふさわしい内容だと感じました。
最後ならここまで言っていいよね、的な。

 

音楽をやってたことのある身からすると、
いつもMr.Childrenの曲には展開やコード進行など驚かされることが多いのですが、
今回もやってくれてます。

 

何気なく、Aメロ – Bメロ – サビ、って聴いてるんですが、
Bメロとサビのメロディはちょっと似てるんですよね。
というかほぼ同じ。
コード進行やドラミングを少し変えながら、
分かりやすく差を出してくれてるんですが、、、

 

間奏が終わって、ラストの大サビに入ろうとすると、

 

Bメロから始まってるのに普通にサビとして聞こえる・・・!!

 

構造としては間奏 – Bメロ – 大サビなのに・・・
サビ2回やってラスト感出してるようにしか聞こえない。。。

 

やっぱりミスチルは何気なく、すげぇなぁという曲です。

 

という、音楽の観点からも楽しめる、『君の膵臓をたべたい』感想でした。

 

 

 

 

Dスケ