旅行・アート

「瀧本幹也 たった12の『CROSSOVER展』。」交差するクリエイティブを体感してきた。

どうも、Dスケです。

 

今日は、表参道にある糸井重里さん主宰の「TOBICHI東京」にて開催されている、「瀧本幹也 たった12の『CROSSOVER展』。」に行ってまいりました。

お恥ずかしながら、初めて参りました。https://www.1101.com/tobichi/tokyo/about/

写真家であり、映像作品も多数撮られている瀧本幹也さんの、数多ある作品の一部を期間限定で展示しているとのことで(12日間!)、時間のある……あ、ヒマな僕が行ってきた訳です。

瀧本さんのことも詳しくは存じ上げなかった状態でしたが、作品は何度も何度も目にしたことあるものばかり。懐かしくもあり、新しくもあったCMや写真の数々を、かいつまんでご紹介できたらと思います。

写真家:瀧本幹也について

あまり存じ上げないながら、簡単に瀧本幹也さんのご紹介を。会場にあった説明書きから。

瀧本幹也

写真家 / 1974年愛知県生まれ。
94年より藤井保氏に師事。98年に写真家として独立し、瀧本幹也写真事務所を設立。広告写真をはじめ、グラフィック、エディトリアル、自身の作品制作活動、コマーシャルフィルム、映画など幅広い分野の撮影を手がける。
主な作品集に『LAND SPACE』(13)『SIGHTSEEING』(07)『BAUHAUS DESSAU ∴ MIKIYA TAKIMOTO』(05)などがある。また12年からは映画の撮影にも取り組む。自身初となる『そして父になる』(是枝裕和監督作品)では第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門審査員賞を受賞。15年には『海街diary』で第39回アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞。17年『三度目の殺人』第74回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門。東京ADC賞、ニューヨークADC賞GOLD、カンヌライオンズ国際広告祭GOLD、ACCグランプリ、日経広告賞グランプリ、ニューヨークCLIO AWARDS GOLD、ロンドン D&AD YELLOW PENCILなど、国内外での受賞歴多数。

輝かしい経歴の数々です。

写真家でありながら、多数の映像作品も手掛け、僕らもよく知っている是枝裕和監督作品を撮られています。

 

結構珍しいことなのかなと思ったりするんですが、そうでもないんですかね?映像も兼ねて撮られる写真家さん。

でも、そういえば、前職の会社にいたときにお世話になったカメラマンさんも、写真家活動のかたわら演劇の舞台の演出とかもやられていて、カットをディレクションするという意味ではそう変わらないのかもしれません。

 

僕が一番知っている作品は『海街diary』なのですが、というか他の作品はまだ観たことがなく、予告編レベルの情報ですが、全体として「質感」を意識される方なのかなというイメージ。

それはまるでホームビデオで不意に切り取られた場面かのように、日常をそっと映し出してくれる印象があります。

また、そもそも『海街~』がそういう作品ですが、自然や建造物などの「景色」との調和を画面に上手に収めている。縁側でしゃべっている場面でも少し引きのカットを入れたりして、人と景色が馴染んだ映像が素敵だなぁと思って観てました。

 

僕の感想はさておき、そんな瀧本さんの作品展です。

TOBICHI 1階:CM作品上映コーナー

ということで、開店となる12時ちょうどに表参道に降り立ちました。

根津美術館の、すぐ近くにあります。TOBICHI東京。②のほうです。

駅から少し歩くので、さすがにもう暑くて、汗もかきながら店内に入ったところ、スタッフの方に「暑い中おいでいただいたので、1階の上映作品を観ながら、まずは涼んでいかれてはどうですか?」と素敵な提案をうけ、まずはCM作品の上映から。

CMなので、15秒、長くても30秒バージョンかなぁなどと考えていましたが、1分、2分のものも多数あり、じっくり涼みながら観ることができました。

 

かなり以前のものから、今でもよく観るものまで、本当に多くの作品を手掛けられていることに驚かされます。ほんとに写真家さん?

一部ですが、以下にご紹介。

 

 

 

 

 

 

(撮影禁止だったので、ひたすら記憶しましたw)

 

どれも見たことありません?まぁ古いものは、若い人は見たことないでしょうけど。昔は携帯電話で動画を送るなんて画期的すぎて、ムービー●●と名前まで付いてますねw

 

どのCMも、広告なのに押し付けがましくなく、一見すると何の企業・商品のCMなのか分かりませんが、根本にあるメッセージを確かに伝えてくれます。

少しSF色やコメディ色のある作品もありますが、多くが何気ない日常を描いた、その短い時間軸の1ページを切り取って、観る人に寄り添ったストーリーなのが印象的です。

 

という堅苦しい感想は抜きに、単純に好き、全部好き。

もはや、CMを越えて、ショートフィルム作品のよう。そう、先ほどから、広告なのに「作品」と多用してしまうほど、クオリティが高く、魅入ってしまう。

上映中、ずーっとニヤニヤしながら観てしまいました。一緒に観てる人が少なくて良かった。。。

 

40を越える作品がループで上映され、あの懐かしのYMOのRYDEENを起用した有名なCMや、役所広司さんの大和ハウスのCM、豚がバレエをくるくる踊るあの有名CMなど、あれもあれもと知ってる作品が観られます。全部良すぎて、全部ネタバレしたいくらいです、うぅ…(ガマンしております)

ぜひとも会場で、クーラーの効いた1階で、大きなスクリーンで鑑賞してほしいです。

TOBICHI 2階:ビジュアル作品展示コーナー

2階ではグラフィック作品と、その完成までの試行錯誤が垣間みえるポラロイドが合わせて展示されていて、なんだかマジックの種明かしを見ているようで楽しいです。

今回「たった12の」と謳っているので、あまり見せるのもよくないと思うのですが、面白かったのを2つだけ。

世界卓球2015

写真のようであり、動画の一部分を切り取ったかのような躍動感もあり、不思議なビジュアル。

展示会場に行くと、作品を解説してくれる紙ペラをいただけるんですが、その解説によると、

垂直に立てた白いアクリル板の手前に、卓球の球を吊って撮影。影のように見えるのは、ニセモノ。黒い楕円をプリントした紙をアクリルの裏から貼りつけている。

とあり、そう言われてよく見てみると確かにそう見えてくる、いやでも言われないと分からない、という何とも不思議な感覚を受けます。

ポラロイドには、最初の試作した様子が収められていて、あれがこの完成形になるのかという感動もありました。

ぜひ会場で見ていただきたい。(というか、単純にポラロイドの写真を撮り忘れました。泣)

 

ほぼ日のサイトで絶賛連載されている瀧本さんの対談記事でも、本作品の試行錯誤に触れているので、合わせて。手前3ミリ→奥6ミリの話とかは、心底すごいなと思う。

Mr.Children HOME

映ってるのも実際の家族なんですよね。海外の大家族感と、バックの欧米感がマッチします。

僕も大好きミスチルの中でも、アートワークとして多く取り上げられるジャケットの一つです。

以前、セブンルールにも出演していたアートディレクター森本千絵さんが手掛けた作品であることは知っていたんですが、こちらにも関わってました瀧本さん。

「ウレタンが波でブヨンブヨン動いちゃって。予算的に美術さんを連れていけなかったので、前の晩にみんなで徹夜してウレタンに針金を通しました」

なんて裏話もあったみたいで、ご本人たちは大変だったと思いますが、傍から聞いていると楽しいw

予算とやりたいことの狭間で、なんとか理想を体現していく。自分の仕事にも身近で、同じことの積み重ねなんだなと感じます。

 

やっぱり、全体的に「質感」に意図があるなぁと、今回の展示をみると改めて思います。

実写だけど絵のように、静止しているけど浮遊感を出すように、映像だけど日常のように、といった瀧本イズムともいえる強いこだわりが、写真家、映像監督として求められている所以でしょうかね。

 

他の作品も撮ってはあるんですが、あえて載せないっ!w(会期終了したら更新します)

ぜひ現地での鑑賞と、制作秘話をあわせて、不思議な写真の世界を体験してください。

まとめ:写真家を越えた、CROSSOVER

幅の広い映像作品と、そして本来の写真家としてのビジュアル作品を目にすると、まさに活動分野の幾重にも交差する様子がみてとれます。

そしてそれは、完成品としての交差だけでなく、1つの作品だけでも多様な見方が交差する、アートに近い広告作品であることを強く感じました。

クリエイティブである以上、「どう作るか」より「なにを作るか」を重視し、そのための手段は問わないで(かどうかは勝手な想像ですが)、貪欲にできることを模索する、そんな気迫もどこかに感じる展示でした。

 

なにより、この内容が無料で見れる。これはおすすめです。(いや、もちろん作品集や写真も買えますよっ!)

というか、今ホームページを見ると「ひとコマ映画館」なるものもあったようですが、完全に見逃してる……また行こうかな。

今週8/12(日)までの展示ですので、ぜひぜひ行ってみてください!

 

なお、先ほどご紹介した対談記事も、面白いのでぜひ目を通してほしいです。個人的に『三度目の殺人』の、ビスタ・シネスコの画面サイズの話は興味深かった。

 

色んな才能の掛け合わせで、素晴らしい作品が生まれるんですね。

これもまさに、クロスオーバー。

ではでは。

 

 

Dスケ