どうも、Dスケです。
みなさんは、「歌舞伎」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
敷居が高い?値段が高い?物音ひとつ立ててはいけない緊張感がある?
僕も東京にきて15年ほど、一度も行ったことがなかったのでそんなイメージがありましたが、今回初めて観劇してきて少し想像と違いました。
この記事では歌舞伎初心者の僕目線で、はじめての歌舞伎座での観劇の感想や、「幕見席」というお得な観劇方法について、レポートしてまいります!
目次
実は着物着なくても、高いお金払わなくても、歌舞伎は観れる!
さきほど書いたイメージの通り、歌舞伎に対する先入観は、
- 気軽に行けなさそう
- 料金が高そう
- 和装などのドレスコードがありそう
- そもそもどうやったら観れるのかわからない(知らな過ぎて)
- 上記の理由にて、いろいろと敷居が高そう
といった感じで、無知からくる高尚さ・格式の高さが足を遠ざけていました。
そんな僕が、なぜ歌舞伎の観劇に挑戦してみようと思ったのかというと、ほぼ日刊イトイ新聞で連載していた早野龍五さんのこの連載がきっかけでした。
ぼくは若い頃は、
歌舞伎座の4階にある幕見席という場所に、
階段をかけあがっていって、観てました。
当時はエレベーターがなかったのでね。
幕見席は300円とか500円だったけど、
いまは1000円くらいかな。
ひとりでポンと行くなら幕見もおすすめです。
いまはエレベーターもあるし便利ですよ(笑)。
知らなかった…
歌舞伎って1,000円で観れんの?
という衝撃の事実を知り、俄然、観たい気持ちが高まってきたわけです。
急いで「幕見席」について調べてみることに。
歌舞伎をお得に観れる「幕見席」とは?
松竹の歌舞伎座ホームページによると、「幕見席」とは
好きな幕だけをお気軽にご鑑賞いただけるのが、幕見席。 幾度もお運びになるお客様や、歌舞伎を初めてご覧になるお客様のための、歌舞伎座ならではの人気席です。
という紹介がされています。
そう、この「好きな幕」だけを観れるのが「幕見席」なんですが、そもそも歌舞伎の作品が1つずつ分かれていたり、そのうちの1つをつまみ食いみたいに観れることも知りませんでした。
なんか「勧進帳」だけで3~5時間くらいやる、みたいなのが普通やと思ってましたwww
改めて各演目を見てみると、どれも1時間~長くて2時間ほどの作品が、1日に6、7つ上演されています。
これらの作品の、ひとつの「幕」だけを「見」られるのが、「幕見席」というわけです。
一番高くても1,500円、安いのはなんと600円でも一幕を観られるというシステム。
意外と知らない人も多いんじゃないかなぁ。
ちなみに、幕見席で観られる座席の位置は、4階席。
のちほど、改めて座り心地や舞台までの距離感などに触れます。
歌舞伎初心者が感じた「観劇前に準備したいこと」
各作品の公演30分~1時間半ほど前から、幕見席のチケットは販売されます。
販売開始になると入場のための整理券が配られ、その後チケットを購入することができます。4階の座席数には限りがあるので、早めに並ぶのがおすすめですが、立ち見でも観ることができます。
チケットさえ購入できれば、あとはその公演の集合時間までは自由時間なのですが、できれば「事前にこういう準備しておけば良かったなぁ」というのが個人的にあったので、以下参考にしていただければ幸いです。
双眼鏡・オペラグラスの準備
周りのお客さんでも結構持参している人が多かったのと、僕もあると良かったなと感じたのが、双眼鏡・オペラグラスです。
演目をただ観るだけであれば、ある程度視力がいい人なら問題ないと思いますし、コンタクトの僕もほぼ問題ありませんでした。
ただし、細かい部分。例えば、きらびやかな着物や髪飾りなどの装飾を見たい、唄っている人は誰かを確認したい、楽器演奏の手つきなどをじっくり見たいなどについては、4階席からだとさすがに厳しかった。。。
せっかく行くなら歌舞伎の文化をたっぷりと堪能したい、という人にとっては、双眼鏡・オペラグラスは必須だなと感じました。
ちなみに、幕見席の入場口で販売もしており、歌舞伎座のロゴ入りで1,080円。
事前に買っておくのもいいかもしれません。
購入チケットの演目のあらすじをさらっておく
これも実際に観劇してから感じたことですが、事前に観る作品のあらすじはざっくり確認しておくことをおすすめします。できれば、会場入りする前に。
理由は2点あって、
- 演目によっては古典の言葉でよくわからない
- 会場内はスマホが圏外になるので、途中で調べられない ※注:そもそも上演中は電源OFFがマナー
特に「会場内が圏外」にやられました(笑)。
自分だけじゃなく、他のお客さんでもそういう声を耳にしたので、おそらく会場内の電波を制限しているのだと思われます。
今回、僕は「鬼揃紅葉狩」と「河内山」という2つの作品を観たので、幕と幕の合間にストーリーを確認したかったんですが、スマホ圏外で叶わず。。。
「河内山」は少しフランクな言葉での表現もあったのですが、「鬼揃紅葉狩」はもう完全に古典語。なんとか流れから察するくらいしかできませんでした。
前もって、ざっくりでもストーリーを知っておくと、より深く楽しめると思います。
背の低い人は後列の席がおすすめ
幕見席である4階席は、前列と後列の2列だけ。
2回の演目で、前と後ろ、それぞれに座ってみました。
そこそこ狭いです。前の座席の方が少しだけ広い印象でしたが、ほぼ変わりません。
ただ、前の席は当然後ろよりも低いので、すぐ前の手すりがちょうど視界を遮るような位置にきます。
これは地味に見づらいです。身長の低い女性や子どもが観る際には、後列だなと思いました。
混雑具合にもよりますが、早めに会場入りできれば普通に座れると思うので、その際は後列を狙いましょう。
観劇した歌舞伎演目「鬼揃紅葉狩」「河内山」
「鬼揃紅葉狩」のチケットを購入する際に、入り口のスタッフさんに「今日、観ておいたほうがいい作品ってほかにありますか?」と尋ねたところ、
「その次の作品には吉右衛門さんが出るので、観ておいた方がいいですよ!」
と勧められたので、「河内山」のチケットも一緒に購入。
各作品のあらすじはこんな感じです。ざっくり。
「鬼揃紅葉狩」(おにぞろいもみじがり)
平維茂(たいらのこれもち)による信州の戸隠山(とがくしやま)の鬼女退治を描いた同名の能の作品から歌舞伎化されました。
紅葉狩りを楽しんでいた「平維茂」という偉い人とその家臣が、美しい姫に偶然出会い酒席を一緒にするも、実は姫は鬼で、連れの鬼とともに酔った維茂を襲おうとする。維茂は山の精霊的な神女に助けられ、刀を授けられて鬼を退治する、というお話。
酒席や鬼との戦いといった派手な場面が多いので、笛や太鼓などの鳴り物が華やかで、観ても聴いても楽しい演目です。時間も1時間ほどとコンパクト。
なかなかに古典語が難しいですが…全くあらすじを知らなくても何とかなりました、ギリギリ。
「河内山」(かわちやま)
河内山宗俊は江戸城で茶の接待役をするお数寄屋坊主ですが、将軍様を笠に着て何かと良からぬことを企てるという、とかくいわく付きの人物。その河内山が質店の上州屋にやって来ますと、店は何やら取り込みの様子。聞けば店の娘が腰元奉公に出ている大名家で殿様の妾になれと強要され、閉じ込められてしまったとか。何とか救い出したいが、相手が大名ではとても叶わぬと打ち明けられます。これを聞いた河内山は手付にまず百両、首尾よく救い出せばさらに百両、都合二百両という破格の大金で娘の救出を請け負います。
な、長いwww
簡単にすると、質屋の娘を、奉公先の大名から取り返すために、うさんくさい無法者が悪知恵を働かせて画策するというストーリーですね、簡単にすると。
セットも「質屋」「大名の城内」「城の来客の間」「城の勝手口」とコロコロ変わるので、舞台の回転や黒子の手さばきなど裏方のダイナミックさも興味をそそる作品です。
今でいう「吉本新喜劇」です、まさに。台詞も現代語に近くなっていて、お客さんの笑い声もところどころに入るので、あらすじ知っていると会場と一体となって楽しめます。
歌舞伎を観劇しての感想
「鬼揃紅葉狩」は、いわゆる「ザ・歌舞伎」のような演目です。舞あり、唄あり、殺陣あり、舞台の中央が下りたり上がったりする「奈落」の演出あり、長い髪を振り回す「毛振り」ありで、とても「歌舞伎を見たなぁ☆」と実感できる。
さきほど書いたように上演時間も約1時間なので、長すぎず短すぎず楽しめます。
ただ、やっぱり古典の言葉が分かりにくいので、あまりストーリーを理解しようとしすぎないほうがよいかも。雰囲気で、歌舞伎の臨場感を味わえる演目でした。
一方の「河内山」は、より現代劇のような雰囲気で、最初に質屋のセットからはじまるので、まさにさきほどの「吉本新喜劇やん」という感じ。
この幕の主役である河内山宗俊を、さきほどスタッフさんがおすすめしていた中村吉右衛門さんが演じられていたんですが、素人ながらに素晴らしかった。難しい古語を話しながらも笑いの間をつかみ、引き付ける声色。強い個性が光ってました。
そのほかの登場人物も多いんですが皆さん素晴らしく、大名城内でのひとつひとつの所作も興味深かったり、「昔はこんな感じだったのか」と思いを馳せられる演目です。
1時間半と少し長く感じるので、はじめて観るのには向かないかも。僕も2つ目に観れて良かったと思いました。
まとめ:気軽に楽しめるエンターテインメント!
1演目目がはじまる際の、あの柝(き)を打ち鳴らす高い音が響き渡ったのを聞いたとき(拍子木というらしい)、なんだか身震いがしたのを今でも思い出します。
「幕見席」で気軽に観られるとはいうものの、上演されているのはその作品が作られた当時から、文化として継承され根付いてきた、まさに総合芸術。その重さというか、荘厳さを、今回初めて体感できたと感じています。
まだまだ日本の知らないことはたくさんあるなぁ。生涯、勉強です。
とはいえ、歌舞伎は庶民たちの娯楽。
本来は気楽にふらっと立ち寄って、ある1日のスパイスの1つとして楽しむのもアリなのかなと考えられたのは、幕見席で観られたからだと思います。
まだ歌舞伎を観たことない人は、この機会にぜひ挑戦してみてください!
ではでは。
Dスケ